How Deep Is The Jazz

Jazzの研究とJazz Guitar練習記

Jim Hall / I've Got You Under My Skin (1)

intermodulation.hatenablog.com

Jim Hall / Billie's Bounceの採譜が終わって練習・分析中でして、次の耳コピ用曲として Intermodulationの1曲目、I've Got You Under My Skinを選びました。

Jim Hallは難しいので、簡単なブルースからやろう、何にしてもブルースからでしょ!と思ってBillie's Bounceからはじめましたが、Billie's Bounceの方が断然難しいですね。長いし。I've Got You Under My Skinは3分半程度しかなくて、Jim Hallのソロは1コーラスのみです。

というわけでついに一番のターゲットに挑戦することになりました。

ソロは以前、ちょっとだけやったことがあったのでバッキングから始めました。 音色もリズムもとてもよくて好きなバッキングです。 このバッキングの上にビル・エヴァンスのソロが華麗に乗っていて最高な演奏です。 Billie's Bounceをコピーしているときにも、けっこう速いテンポなのに再生スピード半分に落として聞いてもリズムのズレがないことに驚きました。Jim Hallのリズム感、タイム感は本当にすごいです。

さて、16小節やってみましたが、2-5 と 半音上の7thコード(Ⅱb7、裏コード)、クロマティックアプローチとしての半音ずらしたコード、で構成されていて、他のスタンダードでも使えそうなアプローチになっています。 CDでは 01:07〜 になります。

I've Got You Under My Skinのオリジナルの最初の16小節のコード進行は調べてみたところ

Fm7 / Bb7 / EbM7 / C7
Fm7 / Bb7 / EbM7 / C7
Fm7 / Bb7 / EbM7 / C7
Fm7 / Bb7 / EbM7 / C7

のようです。 Jim Hallが弾いているコードで一番違うのは、3段目のEbM7(トニック。弾いているのはEb6 9)で次のC7のドミナント、G7を弾いて、さらに裏コード(Db7)でC7に繋いでいる部分です。ここでおっ?となりますがかっこいいですね。

ジャズ・ギター・レジェンズ Vol.1 ジム・ホール

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http://www.shinko-music.co.jp/main/ProductDetail.do?pid=1637151

2012年発売後、絶版のようで中古価格が高騰していますが、Jim Hall研究のお手本にと中古で購入。 jazz guitar book掲載記事の転載が多いですが、まとまっていて便利なのと、奏法研究が充実していました。

これだけの量のインタビューがまとめて読めるのは本書だけではないでしょうか。

LIVE IN JAPAN / Billie's Bounceのコードソロも1コーラス分載っていました。僕が採譜したのとポジションは違いますが、音は概ね同じでした。

定価以上で入手する必要があるかと言われると、立ち読みした後だと買わなかっただろうなという感想です。jazz guitar bookを一冊も持っていないなら買いです。

Jim Hall / Billie's Bounce 研究1

LIVE IN JAPAN の Billie's Bounce のソロ17コーラス、今日採譜完了しました。Bass Solo時のバッキングと4 bars、エンディングが残っていますが、ひとまずここまでにして分析を始めています。 12/23から始めているので、2ヶ月以上かかりました。オリジナルスピードで弾けるようにも練習しながらなので、採譜自体は1ヶ月ぐらいかかった計算になるでしょうか。まだオリジナルスピードで弾けませんが。だんだん曲へのアプローチが分かってきて、例えば使うコードが出揃ってくるので後半はスピードアップしてきます。 コピーするときのツール、コツのネタもたまってきたので順次書いていきます。

Fred Hersch & Julian Lage / Free Flying

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最近注目しているギタリスト、Julian Lageの参加作品を追っていたらIntermodulationに次ぐPianoとGuitarのDuo作品に出会えました。

Fred Hersch とのDuoのFree Flyingです。

Free Flying

Free Flying

  • ジュリアン・レイジ & フレッド・ハーシュ
  • ジャズ
  • ¥1377

なぜか分かりませんが、その他のDuo作とは全然違う突き抜けた新しさを感じます。もう一つ、現代的なDuo作といえば、Pat MethenyBrad Mehldauの「Metheny Mehldau」

がありますが、それより新しい感覚です。スタイルとしては、クラシック感のあるJazzで、特別新しいスタイルというわけでもないと思うのですが、なぜか光っている。そんな印象のアルバムで、最初に聴いた時からやばいものに出会ってしまった感じがありました。その後、毎日聴いています。Julian Lageのギターが新しく響いているからなのか、曲のせいか、研究してみる必要があります。

このアルバム、Apple Musicで聴けます。Apple MusicのJazzの充実度は異常です。ハイレゾ版があれば欲しいなと思って探しましたがありませんでした。Jazz界は商機を逃していますね。

さて、お相手のFred Hersch ですが、実は全然知りませんでした。ブラッド・メルドーの師にあたる人で、最初のキャリアはアート・ファーマー、とJazzのど真ん中にいる人と言っていいかと思います。ソロピアノが有名な様子。

Song Without Words というタイトルの曲が二つあるのは、Fred Hersch の同名ピアノソロ作からの2曲です。

Songs Without Words by Fred Hersch

itun.es

Julian Lageといえば、某所でこの動画が話題になっていました。 何かしら得るものがあると思いますので必聴。

www.youtube.com

ここで挑戦しているというソロギター、といえばこのトラックも必聴。

itun.es

ギター用の楽譜においてポジションと運指をどう記述するか (HARU記法)

ギター用の楽譜においてポジションと運指をどう記述するか (CJG記法その1)

では、コンテンポラリージャズギター(書籍)の記述方法(CJG記法)を採用してはどうかということを書きました。 何弦で弾くかだけを記述する、つまり弦番号だけ書いてはどうだろうということを結論として書きましたが、そういえばと思って探したら同じ趣旨の記法を採用しているものがありました。 それは高内春彦さんの書籍、JAZZ GUITAR CONCEPTです。

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次のような譜例があります。

次のルールで書かれているように思います

  1. 弦番号は数字を丸で囲って五線譜の外に書く
  2. 音符の数だけ同じ重ね順で書く(五線譜の上下で分けて書いてもよい)
  3. 全ての音符について書かないときや、スペースの使い方によっては音符の横に書くスタイルでもよい

これをJGC記法ととりあえず呼びたいのですが、CJG記法とアナグラムになっていてややこしいのでHARU記法と呼びます。

HARU記法はCJG記法のアレンジと言っていいでしょう。他の譜例を見ると、指番号指定で丸で囲わない数字を使っているのも同じです。

ギター用の楽譜を書く場合、この二つの記法の共通点

  1. 丸で囲んだ数字で弦を指定する
  2. 指の指定は丸で囲わない数字を使う

を基本に自分の書きやすいように、そして人に見せるものならば混乱が起こらないよう一貫した方法で必要に応じて弦番号、指番号を指定する、のがよさそうです。

コピーしたときに練習する

相変わらずコピーしては採譜していますが、1曲で1ヶ月以上かかるので、CD1枚で大変長い期間楽しめてとても低コストです。 いいギターとギターアンプがあればより楽しめます。

さて、コピーしていて最近気になっているのが
"コピーして採譜すると、どんどん先に進みたくなって結局ソロを全部採譜したあとに練習するんだけど、前に戻ると忘れている" という現象です。

結論は
コピーして譜面にしたらその時にオリジナルスピードで弾けるように練習するべきじゃないか
なぜならコピーしたときが一番ニュアンスなどを覚えているから
です。

コピーするときは再生スピードを落とすので、そのスピードでそのときは、まぁ、下手には弾けます。 で、コピーして譜面に音符を書くまでやると、次がやりたくなるんですね。ついつい、全部採譜してからあとでガンガン練習するぞ!と思いがちです。

これを繰り返すと、全部採譜できているんだけど、オリジナルスピードでは弾けない状態となります。 そして、さて練習しようと前の方を弾き出すと、残っているのは譜面なので、採譜したときには覚えていた微妙なニュアンスの情報などが失われています。

もちろん、採譜の目的が分析にあるなら、別に弾ける必要はないでしょうが、コピー -> 採譜の目的はやはりそのフレーズを身に付けることにあると思います。

ということで、4小節か8小節コピーしたら(微妙なニュアンスなどをつかんでいる聞き込んだばかりの時に)弾けるようになるまで練習する。それができて次のコピー -> 採譜に進む、ということを忘れないようにしようと思います。

このときの練習ですが、どうやら別の曲の同じコード進行の部分に当てはめて弾くと、自分のフレーズにできるようになるそうです。

言葉を覚えたら、実際の会話で喋ってみると身に付く、という感じでしょうか。