How Deep Is The Jazz

Jazzの研究とJazz Guitar練習記

ギター用の楽譜においてポジションと運指をどう記述するか (CJG記法その1)

f:id:intermodulation:20160110141200j:plain 近ごろ、よく採譜しているのですが、ギターでどのポジションでどういう運指で弾くか、試行錯誤した結果を残したいときがあります。 しかし、タブ譜にはしたくない。

タブ譜にしたくない理由は

  • 自分が弾いている音が何なのか分からないけど弾けている、というのはジャズでアドリブをやるには問題がある
  • スペースを二倍取る
  • 書くのがめんどうである(二倍書くことになる)

です。

ちなみに僕はタブ譜否定派ではありません。タブ譜はギターならではの記譜法であり、楽譜と指板がビジュアルに対応していて、分かりやすく素晴らしい発明だと思います。例えばJim Hallをとことん研究している人が書いた楽譜があったとしたら、ポジションも分かった方がいいので、タブ譜がついていることには価値があると思います。 しかし、タブ譜が無いと弾けない、タブ譜しか読めない、弾いている音名が分からない、と到達できるレベルに限界があるように思います。

さて、タブ譜を書かずにポジションを記録したい。これをクリアする記譜法は、自分で考案してもいいのですが、教則本「コンテンポラリージャズギター1」 の方法がよいと思います。

以下、CONTEMPORARY JAZZ GUITARの頭文字を取って"CJG記法"と呼びます。

CJG記法

CJG記法は大変シンプルです。

指は 1(人差指)、2(中指)、3(薬指)、4(小指)、T (親指)、O(開放弦)

で表します。1〜4, T, Oを以下、指記号と呼びます。

弦は ① (1弦E)、 ②(2弦B)、 ③ (3弦G)、 ④ (4弦D)、 ⑤ (5弦A)、⑥(6弦E)

で表します。①〜⑥を以下、弦番号と呼びます。

指記号は音符の右に、弦番号は音符の左に書きます。

実際の表記は

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のようになります。

これは一番低い音から順に

  • ⑥ なので6弦でCを鳴らす、6弦でこのCは8フレット目しかありません。指は4なので小指で押さえます。
  • ④ なので4弦でAを鳴らす、4弦でこのAは7フレット目しかありません。指は2なので中指で押さえます。
  • ③ なので3弦でDを鳴らす、3弦でこのDは7フレット目しかありません。指は3なので薬指で押さえます。
  • ② なので4弦でFを鳴らす、2弦でこのFは6フレット目しかありません。指は1なので人差指で押さえます。

ということになるので、タブ譜で表すと次のようになります。

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CJG記法で書いた五線譜とタブ譜を比較してみると、CJG記法は指板とビジュアルに対応しないため、パッとみてもどこを押さえるべきかは分かりません。弦番号と音符をフレット番号に変換する必要があるからです。 そのため、音名を把握しなければならないという五線譜の本来のあり方を持ち合せています(五線譜なので当然ですが)。そしてポジションと運指、指使いは一意に決定されます

さて、実はポジションを決定するには弦番号だけでよいのです。一つの弦に同じ音は存在しないからです。 指は弾く人が自分で選べばよいと思いますし、タブ譜でも指の指定があるものは少ないと思います。

そこで、どうしても複雑なコードなどで指の指定が重要な場合には指記号を書き、それ以外はポジションを決定するために弦番号だけを書く、というスタイルがいいのではないかと思っています。 ポジション指定も、自分が残したい場合、もしくは(奏法研究など)他の人にポジションを伝えるのが有効な場合にのみ書けばよいと思います。

CJG記法を改善するとしたら、五線の上に直接書くのではなく、コード名などと同じように別の領域に注釈のように書けるとよいのではないかと思います。 そうやって必要ない人は見なくてよい、目に入らないようにすれば、さらによくなると思います。が、どこに書くか。別段にしたらタブ譜と同じくスペースを取られます。

「コンテンポラリージャズギター1」のCHAPTER3では、五線譜の五線からさらに上の位置に"数字 + P"と書く表記がなんの説明もなく突然出てきます(僕が見落としているだけでしょうか)。 これは、おそらく"2P"と書いてあったら、人差指が(もしくはルートが?)2フレット目に来る、という意味ではないかと思います。 上の例だと、8Pと書くと、8フレット目がルートで指定の音が押さえられるポジションは一つしかなさそうですが、この場合人差指じゃなくて小指ですし、しかも音数が少なめなら別の押さえ方も可能な場合があるかもしれません。つまり曖昧なケースが多そうな気がします。

ということで、五線の上に書かず、コード名のように書けてよいのですが、曖昧な部分があるので採用は見送ります。自分用にさっとメモする程度なら有効かもしれません。

DV MARK JAZZ 12

ギターアンプが欲しいなと常々思っていたのですが、Logic Proのギターアンプ・シミュレーターでいろいろできるし、いいか、と購入には至っていませんでした。

intermodulation.hatenablog.com

しかし、布川俊樹さんがライブで使われていて、とてもよい音だったのと、年末セールで6万円台まで下がっていたので

DV MARK JAZZ 12

というアンプを購入しました。

[asin:B00NANPFUE:detail]

とにかく音がよい。 とにかく音がよい。 とにかく音がよい。 まぁ、とにかく音がよい。

どちらかといえば、ポコンというコンプがかかった系統の音ですが、175との相性がすごくいいと思います。 クリーンで分離もよくて、弾いていて気持ちがいい。練習時間が倍ぐらいになりました。

さて、ギターアンプを買って気付いたのが一つ。

以前は、どうもLogic Proで録音して再生すると違う感じの音がするし、弾いているとギター自体の生音がよく聴こえる、と思っていました。

DV MARK JAZZ 12で弾くと聴こえない。ギターアンプだけの音がする。

原因はLogic Proのギターアンプ・シミュレーターで、やはり、わずかにでもレーテンシーがあるので、ギター自体の生音がほんのわずか先に耳に届いてしまうんですね。

生音が先に聴こえるので、そのアタックを前提に音を作って、サスティン側(持続音)に注意してアンプの調整をしてしまいます。 なので、Logic Proで録音してから聴くと、生音が聴こえない(当然録音されていない)ので何か弾いてたのと違うなぁ?という感じになります。

あとは、弾くタイミングに問題が出てくると思います。

そんなわけで、Logic Proのギターアンプ・シミュレーターを練習に使うのはやめました。 練習の録音はDV MARK JAZZ 12のラインアウトを使って、Logic Proに繋ごうと思っています。

ZT Amp LunchBox Jr.

という超ミニサイズながら、鳴りがすごいと評判のアンプもあって、こちらを買おうと思ったのですが大人気で生産が追いつかずどこも在庫無しだそうです。 セッションなんかで、いつもと同じ音で演奏したいのでアンプは持ち歩く!というスタイルでいきたいので、こちらも購入したいと思っています。

Jim Hall / Billie's Bounce Solo 1~2

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LIVE IN TOKYOのBillie's Bounceのソロを2コーラス採譜してみました。 CDの0:27 ~ 0:55あたりまでになります。

ぱっと聴くとジム先生の摩訶不思議ワールドな感じなのですが、採譜してみると、しっかりコードトーンを弾いています。

全体的には、モチーフの発展を試みつつ、ときおりアルペジオを入れてコード感を出しつつ、という感じです。

使えそうなフレーズやアプローチをざっとメモすると

という感じでしょうか。

出だしなので音数も少なめで、さぐりを入れている感じですが、これから徐々に音数も増えて、後半はコードソロになります。

Jim Hall / Billie's Bounce テーマ

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LIVE IN TOKYOのBillie's Bounceのテーマ(イントロ) 2コーラスを採譜してみました。 ジャズ・スタンダード・バイブルの楽譜と比較するとかなり違います。 BPMは220ぐらい。

Jim Hall関連3作再発 / JAZZ IMPRESSIONS OF JAPAN(無言歌), LIVE IN TOKYO, Gary Burton : Something's Coming!

Jim Hallの入手困難だった作品が近ごろ一気に再発されています。 どれもJim Hallファン必携の★5つ作品。

JAZZ IMPRESSIONS OF JAPAN(無言歌), LIVE IN TOKYOは キングレコードが70年代後半に立ち上げたパドル・ホイールというレーベルの50タイトル再発の中の二枚。 パドル・ホイールは"日本企画によるオリジナル作品にこだわり続け"(ライナーノーツより)たレーベルだそうで この二枚も1976年の来日時にそれぞれスタジオ/ライブ・レコーディングされたもの。

LIVE IN TOKYO

1976年年10月28日録音

中野サンプラザでのライブ。

Billie's Bounceからスタート。 録音も演奏も最高なので、いきなり研究対象CDになりました。 Jim HallがBillie's Bounceをやっているのは、僕の手元だとこれだけなので、ジム先生のBlues演奏研究のとっかかりにしています。

[asin:B015JT52B8:detail]

JAZZ IMPRESSIONS OF JAPAN(無言歌)

1976年年11月1日録音

LIVE IN TOKYOに収録されたライブの後、同じメンバーでスタジオ作品を録ったわけですね。

来日時に、日本での体験からインスパイアされたJim Hallのオリジナル曲中心のアルバム。 こちらも録音も演奏も最高で、今度長いこと聴く作品になりそうです。

[asin:B010EB1I5A:detail]

Gary Burton / Something's Coming!

August 14-16, 1963 録音 1964年リリース。

Gary Burtonのリーダー作ですが、ジム先生のCarefulが収録されているぐらい、大フィーチャーされていて、RチャンネルにGary Burtonヴィブラフォン、LチャンネルにJim Hall、という定位で、Jim Hallのギターが存分に堪能できます。

前から名演と言われていて、探していたのですがLPしか無いとかCDが出ていたなど情報が錯綜、とにかく手に入りませんでしたが、いきなりの再発。

On Green Dolphin Streetのソロはこれぞジム先生!といった感じの名演。Six Improvisatory Sketchesではヴォリューム奏法が聴けます。

Charlie Christian研究入門 2. Jazz Immortal / Esoteric / ミントンハウスのチャーリー・クリスチャン / After Hours

引き続き、Charlie Christianを調べています。

音源をApple Musicで手当たり次第聴いたりしたのですが、お昼のお仕事は前回紹介した

[asin:B00D1B8RSM:detail]

が音質も選曲も素晴らしくてよいです。

Seven Come ElevenはJim HallJoe Passもやっていますし、Rose Room、Solo Flight、Breakfast Feudなど、チャーリークリスチャンといえばこれ!という曲が入っています。というか、このアルバムに入っていないテイクは実はそんなになさそうです。

夜のお仕事は代表的というか、SwingからBebopへの過渡期のドキュメントとしてJazz史に残る名盤と言われているらしい、こちらのトラック 1 ~ 6を押さえておけばよいかと思います(残りのトラックにはチャーリー・クリスチャンは参加していません)。

Jazz Immortal / Esoteric / ミントンハウスのチャーリー・クリスチャン / After Hours など、いろいろ名前がありますが、全部同じです。

これ、届くまで分からなかったのですが紙ジャケです。音質も一番いいです。

[asin:B00Q5A161Q:detail]

  1. Swing to Bop
  2. Stompin' at the Savoy
  3. Up on Teddy's Hill
  4. Down on Teddy's Hill
  5. Guy's Got to Go
  6. Lips Flips

ライナーノーツによると、1941年5月の録音で、1. ~ 4. がミントンハウス、5. 6. はアップタウンハウスとのこと。

ライナーノーツはこちらに公開されています。素晴らしい。 『ジャズ・イモータル』 /チャーリー・クリスチャンほか

中でも1. 2. がよい感じの演奏で、Stompin' at the Savoyはスタンダードにもなっていますので、Grand Slamの後はこちらを研究しようと思っています。

Charlie Christian研究入門 1. Boy Meets Goy(Grand Slam)

Charlie Christian、伴奏楽器だったジャズギターでソロをはじめた開祖ということで名前もよく出てくるし 実際聴くとかっこいいのですが、なにせ録音が悪いのであまり聴いていませんでした。

が、たまたま見たこの動画の解説が面白かったのと、ソロがかっこよかったので採譜してみました。

(動画にある譜面はリンク切れでした。)

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BPMは190ぐらいでけっこう早いです。

いやぁ、かっこよくてずっと弾いちゃうフレーズ満載です。 通常のブルースに比べて、コードトーンの採用でだいぶジャズっぽくなるのの例といったところでしょうか。

動画の解説でも言われているように、構成がしっかりしていて、後のウェスのスタイルに繋がっているなと思いました。 たぶん、3コーラス目もやったら、コードソロが入るだろう、みたいな。

ベニー・グッドマンのバントなんかに参加しているお昼のお仕事では、当時のシングル盤の制約で、一曲3分ぐらいですから、ソロが2コーラスを越えるものは聴いた限りありません。 ミントンハウスでのセッションでは長い長いソロが残っています。こちらはお昼のお仕事とは違って、全開な感じになっていてだいぶ音数も多いですが(採譜したわけじゃないのでまだ印象ですが)基本はお昼のお仕事のフレージングが基本に聴こえます。この辺の研究はまた後日。

お昼のお仕事版は録音がよいのがいいです。

収録アルバムとしては、これの音が一番いいように感じました。 他の音源はピッチが20centsぐらいずれていましたが、このアルバムはばっちりです。

[asin:B00D1B8RSM:detail]

2コーラス目に入る前の裏拍で4度を弾いて、その後トップノートが3度から5度まで上がっていくフレーズが特に耳に残ります。

このアルバム収録版はTake 2でTake 1も最後まで完奏していて、チャーリーのソロもなかなかですが、Take 2の方がドラマチックです。