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How Deep Is The Jazz

Jazzの研究とJazz Guitar練習記

チャーリー・パーカー研究 1.入門(音源と書籍、トラックの調べ方)

チャーリー・パーカー研究

Billie's Bounceの作者がチャーリー・パーカーで、オリジナルを聴いたりしています。 チャーリー・パーカー、やっぱりいいですね。録音がよくないのでアレですが、いろいろ聴いていると、この曲はパーカーが大本なのか、など発見があります。最後の方はCole Porterを演奏していたりして、I've Got You Under My Skinもやってたりします(これは演奏にキレがない感じですが)。

itun.es

その流れで、以前買っておいた「チャーリー・パーカー技法」という本を読み直しています。

チャーリー・パーカー技法」はパーカーの曲を600曲とか採譜して研究された方が書いた本で、理解するにはかなり前提知識が必要ですが、とんでもなくすごい本です。 何がすごいかといえば、パーカーが曲の中で基本のコード進行に対してどういうコード進行を想定して即興をやったのかが明確に解説されています。こんな本が日本から出るとは、というレベルです。

さて、この本を読んでいて、なんとJim Hallが演奏するBillie's Bounce(最近コピーしたやつ)の中でよく分からなかった部分の謎が解けました。 Jim HallがBillie's Bounce = FのBluesのトニック、つまりF7の部分で頻繁にEbM7b5を弾いているのですが、これはたぶん「チャーリー・パーカー技法」の3章で説明される「Relative Major」で説明できると思います。興味がある方は本を読んでみてください。

さて、「チャーリー・パーカー技法」ではパーカーの演奏を採譜したものを題材にここはこういうアプローチだ、という風に解説が進むのですが、それがたとえば

ex. 118 Charlie Parker, "Out of Nowhere [take 1]", 1947年11月4日, 5小節目

というように記述されています。

この音源を探してくるには、パーカーの全録音の記録が書いてある

Charlie Parker Discography

を参照するといいと思います。

ここでOut Of Nowhereをページ内検索すると

Original Charlie Parker Quintet
same personnel
WOR Studios, NYC, November 4, 1947
D1111-C Bird Feathers   Dial 1058, LP 207; Spotlite (E) SPJ 105
D1112-A Klactoveedsedstene  Dial 1040, LP 207; Spotlite (E) SPJ 105
D1112-B -   Dial LP 904; Spotlite (E) SPJ 105
D1113-B Scrapple From The Apple Dial LP 203; Spotlite (E) SPJ 105
D1113-C -   Dial 1021, LP 904; Spotlite (E) SPJ 105
D1114-A My Old Flame (Blue Lamp)    Dial 1058, 1058 (alt.), LP 207; Spotlite (E) SPJ 105
D1115-A Out Of Nowhere  Dial LP 207; Spotlite (E) SPJ 105
D1115-B Out Of Nowhere (Nowhere)    Dial LP 904; Spotlite (E) SPJ 105
D1115-C Out Of Nowhere  Spotlite (E) SPJ 105
D1116-A Don't Blame Me  Dial 1021, LP 203, LP 904; Spotlite (E) SPJ 105

のようにOut Of Nowhereが録音された日のメンバーなどが分かります。 そして下に

* Spotlite (E) SPJ 105   Charlie Parker On Dial, Vol. 5
* Dial LP 904   Charlie Parker - Alternate Masters, Vol. 1
* Dial LP 207   Charlie Parker, Vol. 4
* Dial LP 203   Charlie Parker, Vol. 3
* Dial 1058   Charlie Parker - My Old Flame / Bird Feathers
* Dial 1040   Charlie Parker - Klactoveedsedstene / Charlie's Wig
* Dial 1021   Charlie Parker - Scrapple From The Apple / Don't Blame Me
= Dial D 2   Various Artists - Bebop Jazz 1948
* Dial 1058 (alt.)   Charlie Parker - Blue Lamp / Habanera Mambobop

と音源が収録されたアルバムなどが書いてあります。

もう少し、おおざっぱにパーカーの歴史を押さえておくとだいぶ分かりやすくなります。

パーカーの歴史を音源を中心に分けると

  1. Savoy (1944-1949) と Dial (1945-1947)
  2. Verve (1946-1954)

に分けられます。

Savoy と Dial 期は、"On Savoy Years" とか "On Dial", "Complete Savoy Sessions", "Complete Dial Sessions"みたいな名前で数えきれないぐらいのアルバムが出ています。

Verve期はたぶんパーカーの中でも結構有名なアルバム「Charlie Parker with Strings」

Charlie Parker With Strings: The Master Takes

Charlie Parker With Strings: The Master Takes

が代表作でしょうか。

この3つのレーベルがあることと、それ以外にライブレコーディングが正規版、海賊版含め多数ある、ということを覚えておけばいいと思います。

ライブ版はきりがないので、最初はSavoyとDialのマスタートラックのみが入っているものを聴けばいいのではないかと思います。 マスタートラック、というのはリリーストラックという意味で、というのも"Complete Savoy Sessions"みたいなタイトルのアルバムがあることから分かるように、マスタートラック以外にも録音された全トラックを収録したものもたくさん出ています。「チャーリー・パーカー技法」でも当然のように同じ曲の別トラックが出てきますので、もしこの本を読む前提で揃えのであれば、まずは"Complete Savoy Sessions" と "Complete Dial Sessions" みたいなSavoyとDialの全トラックが入ったものを買うといいと思います。

ちょうど2016年1月にキングインターナショナルから Complete Savoy Sessions / Complete Dial Sessions が出ています。

www.kinginternational.co.jp

www.kinginternational.co.jp

Complete Savoy Sessions

Complete Savoy Sessions

Complete Dial Sessions

Complete Dial Sessions

先ほどのOut Of NowhereはDialと書いてありますので、Complete Dial Sessionsを持っておけば探せるということになります。

僕はSavoyの全トラックをVol.1 ~ 4で収録したもののVol.1とVol.2を持っていたので、Complete Dial Sessionsの方を買いました。 最新のマスタリングだけあってApple Musicなどで聴ける他のものと比べて音がよかったので満足しています。4枚で3000円を切る値段ですし、耳コピなどするならファイルが必要なので買うといいと思います。 これでSavoyとDialが揃います。

あとはVerveもCompleteみたいなのが出ているので、3つ買えばほぼ網羅できるのではないでしょうか。

他に、伝記的なことを調べるには、この本の第一章がいいと思います。ざっくり言うとめちゃくちゃやって体壊して死んだという感じで救いがありませんが。

残りの章は「チャーリー・パーカー技法」とはまた違った切り口での奏法、演奏分析です。 いろんな曲のメロディを引用していることの指摘、作曲の分析、時期ごとのビブラートの深さなど、これもかなり濃い分析です。

チャーリー・パーカー―モダン・ジャズを創った男

チャーリー・パーカー―モダン・ジャズを創った男

両方の本で分かるのは、どうやら「パーカーはスケールで発想していない」ということです。これは大変興味深いことです。ひょっとしてモード・ジャズの始まりまでスケールを中心に置く即興は出てこない?