How Deep Is The Jazz

Jazzの研究とJazz Guitar練習記

小沼ようすけのPREMIUM ONE / TS ONE

www.tokyosmart.jp

TS ONEというネットラジオがありまして、その中の【小沼ようすけのPREMIUM ONE】という番組で小沼ようすけさんのラジオが聴けます。
いろいろなテーマで、最近だとハービー・ハンコック特集とかで曲をかけて、小沼さんがそれについて語るという内容です。
その中で、毎回イントロでなんと小沼さんがその場でソロギターをやるんですね。
今日の番組だとエルビス・コステロのカバーでした。
これが当然ですがとてもよい!
まとめて音源にしてリリースして欲しいレベルです。

オススメ。

Radikoでタイムフリーを経験したあとだと、決った時間を待たないといけないのがちょっと辛いですが、リアルタイム感があってこれはこれで(実際は録音を毎日違う時間帯にリピート放送なのでリアルタイムではありませんが)。

Guitar magazine 2016年12月号に小沼ようすけさんのセッション収録

Guitar magazine 2016年12月号

小沼ようすけさんと、最近TVなどでよく見かけるタブラ奏者のU-zhaansさんのセッションが収録されています(付属CD)。

これがよい!
なんとDADGADチューニングで、途中からドロップチューニング + Delayマシンを使うという内容で、いやはや。
このスコアも載ってます。

セッションしてみてのインタビューと、2016/11/23にリリースされる新作「Jam Ka Deux」のインタビューも載っているのでファン必見です。

[asin:B01L2LF07I:detail]

オフィシャルに動画もありました。

「Jam Ka Deux」は予告によるとCDとハイレゾ版がリリースされるようで、今回のGuitar magazineもそうですが、CDを読み込むのに古いMacを使わないといけなくて大変なので、そろそろハイレゾ版を買うかなという感じになってまいりました。

小沼ようすけさんの作品はSACDハイブリッドも多いので、SACDプレーヤーを買ってもいいのですが、レコードプレーヤーも含めてオーディオ環境を作ることになるので、現状のMac + オーディオインターフェイス + パワードアンプ環境からだいぶモノが増えるので二の足を踏んでいます。 Jazzはレコード集めるの楽しいと思うんですけどね。

Archtop Tribute AT101 Classic / WALKiN' を買いました

Jazzをやろうと思って最初に買ったGibsonのアイスティーサンバーストの ES-175D(69〜72年)を長らく使っていたのですが この175、買ったときからかなりトップ落ちしていました。

その分だいぶ安かったのですが、やはり安かろう悪かろうで、ついにオクターブチューニングが合わなくなってきて、ここ1ヶ月ぐらいは1/4ぐらい合わなくて気持ち悪くてしょうがないので、新しいのを買いました。

いくつか候補があったのですが、Live In TOKYO(1976)ぐらいまでJim HallはP90というシングルコイルピックアップの175を使っているんですね。 こういうやつ。

f:id:intermodulation:20161108205823j:plain

シングルコイルなのでノイズを拾いやすいし、ハウリングもしやすいそうです。

ES-175DはPAFというハムバッカーが搭載されています。

ストラトキャスター(シングルピックアップ)とレスポール(ハムバッカー)で言うと、P90はストラトキャスターよりの音と考えるとイメージしやすいと思います。

あと、ES-175D(69〜72年)はDなのでピックアップが二つ付いていたのですが、フロントしか使わないし邪魔だなぁと思っていました。 もう一つ、PAFはピックアップカバーが金属なので、ピックアップ付近で弾くとピックがあたってカチカチ音がなるんですね。

以上から、P90でピックアップ一つのモデルにしようと考えました。

色はサンバースト。

そこで選んだのが、以前から気になっていたWALKiN'という渋谷のJazz Guitar専門ショップのオリジナルである、Archtop TributeシリーズのAT101 Classicでした。
他で買おうと思っても、この仕様はGibsonからは復刻も出てないし(175DでP90ならある)、Gibsonのオールドしかないので50万円以上コースになります。

f:id:intermodulation:20161108211400j:plain

P90のシングルピックアップモデルのAT101 Classicはなんと税抜き10万円を切っているんですね。

http://www.walkin.co.jp/guitars/290010.htm

試奏したところ、家とアンプが違うので音の善し悪しは分からないのですが、弾きやすいしなによりオクターブチューニングが完璧(新品なので当たり前ですが)。 あとP90の生っぽい音がするなぁという印象でした。

そこで即決して購入。

音はといいますと

  • ギター : Tone 6, Volume 6.5,
  • アンプ(DV Mark Jazz 12): Volume、リバーブ、Bassが9時、他は12時

で弾くとこんな感じです。
(レコーダーの位置が悪くて、方チャンネルよりになっています)

入門の一本目はこれにしとけばよかったー!という感じです。

ES-175Dと比べると、はやり70年から弾かれていたギターなので鳴りは圧倒的にES-175D。 AT101 Classicも弾いていれば鳴るようになるんじゃないでしょうか。 アンプに繋ぐと分かりません。 抜けとエアー感もES-175Dが圧倒的。その辺は弾きこんでみてからですね。

次のギターは1950年代のP90搭載 ES-175を狙っていますが、そのときのリファレンスにもなるレベルだと思います。

不満は、仕様かどうか分からないのですが、ヴォリュームの変化がおかしいのが気になるぐらいです。 10-6ぐらいまで変化なし、その後少し下がっていって3から2ぐらいで半分になりという感じのカーブで、6から2ぐらいまでしか使えません。 特に困っていませんが、だいたいいつも6と2までの間で使っています。

コストパフォーマンス、異常に高いのでオススメです。 他のオススメポイントとしては、購入するとついてくるハガキでユーザー登録すると二年保証になるそうです。

Jim Hall and Red Mitchell Duo LTD Edition CD / ArtistShare

ArtistShareというサイトがありまして、Jim Hallの作品がいくつか出ています。

名盤「LIVE!」

Live!

Live!

Amazon

のアウトテイク集、ライブ音源なんかが過去にリリースされたようです。

そして最近なんと、CD化されていないRed MitchellとのDuoのレコードの未発表テイク集が出ました。

ArtistShare

これは未だにレコード化されていなくて、いつ出るんだとよく話題になりますが先にCD化されたのは未発表テイク集とは、いやはや。

8月に募集開始のアナウンスがありまして、何度か延期されて今日発送したとメールが来ました。

買った人が見られるプロジェクトの専用ページではなんと音源がダウンロードできるようになっていました!

6曲(.wav)が入っていました。

  • 1) Now's the Time.wav
  • 2) Valse Hot.wav
  • 3) Alone Together.wav
  • 4) There is no Greater Love.wav
  • 5) God Bless the Child.wav
  • 6) Stella By Starlight.wav

とてもよい!!
Jim Hall and Red MitchellのLPは1978年発表で、LIVE IN TOKYOが1976年なので、その頃の感じの演奏です。

Jim Hallで好きなアルバムを5枚選ぶと

  • Intermodulation
  • Undercurrent
  • LIVE!
  • LIVE IN TOKYO
  • Alone Together

ですが、これに入る勢いで好きです。

JIM HALL AND RED MITCHELL DUO DOWNLOAD ArtistShare

でダウンロードできるものと同じものではないかと思います。

CD版を買うと、ハイレゾ版もダウンロードできるよ!と以前連絡があったのでCD版を買うのをオススメします。 ただ、CDは$18ぐらいですが、送料が$14ぐらいかかりますので、合計$32ぐらいです。

Charlie Christian研究入門 3. THE LEGEND OF CHARLIE CHRISTIAN

Charlie Christianの決定版的書籍がでました。

とにかく全部入り、という感じです。

僕の発見は大きく二つあります

熱いテイクは他にもあった

お昼のお仕事、ベニーグッドマンとのスタジオ録音

夜のジャムセッション(Jazz Immortal / ミントンハウスのチャーリー・クリスチャン / After Hours)

で、主要なところは全部かと思っていましたが、なんと他のセッションものもあるということが分かりました。

そちらの音源は、Complete何々、みたいなのに入っているようですが廃盤です。

本書のスコアでも取り上げられている熱いテイクは「Blues In B」というフランスの特別編集版

Blues in B

Blues in B

Amazon

にまとめて入っているようで、これと以前書いた

[asin:B00D1B8RSM:detail]

でスコアの曲は全部揃います。

「Blues In B」は2007年の発売で、以前紹介した2015年発売のJazz Immortalの方が音質がよいです。なので、ジャムセッションの音源をコピーするなら、Jazz Immortalをオススメします。 ザ・オリジナル・ギター・ヒーローは2013年発売で、こちらも「Blues In B」より音がいいです。

Jim HallCharlie Christianをコピーしていた

これはJim Hallのインタビューでも書いてあったのですが、本書を読んで、以前から気になっていたJim Hallの奏法の源流がCharlie Christianだと分かりました。 具体的には、Live In Tokyoで同音異弦を弾くフレーズがあるのですが、Charlie Christianがやっていたようで、たしかにフレーズも似ています。 なるほどなぁ。

intermodulation.hatenablog.com

特に、採譜したGrand Slam のソロに衝撃を受けたとのこと。 なんと、Jim Hall研究とも関連していたとは。

小沼ようすけ研究 1. 準備編

最近、小沼ようすけさんにハマっていまして、いろいろ集めたり練習したりしています。

まず、小沼ようすけのソロ・ギター・メソッド HOP STEP JAZZ! という本が出まして、これが素晴らしい。

[asin:4845627949:detail]

Guitar Magazineの連載をまとめたものですが、おおまかに言うと

  • HOPではメロディとベースライン
  • STEPではコード進行感をプラス
  • JAZZ!ではライブで自分が弾くならこうだよ

という3段階アレンジでスタンダードを弾くという内容。模範演奏(CDは付いていませんがYouTube動画のリンクあり)が素晴らしい。

オフィシャルでまとめてありました

www.youtube.com

(この本、初版は誤植が多くて回収交換になっていますので、購入の際には修正版の入手をオススメします)

それでハマってCDも買ってみたのですが、これも素晴らしい。

Nu Jazzというデビューアルバムはなんと2001年リリースですが、もうスタイルは完成している感じです。 ジャミロクワイのVirtual Insanityをソロ・ギターでやっているのですが、これがすごい。

ソロギターものをもっと聴きたいなと調べると、 3, 2 & 1というアルバムは初回限定で、5曲ソロ・ギターが収録されたCDが付いています。 Beatles のFor No One、Oleoなどをやっていてこちらも素晴らしい。 ですが、初回限定はもう売っていませんのでオークションなどで探すことになり大変。

[asin:B000EWBCIS:detail]

あと、HOP STEP JAZZ! の前に出た nu jazz スタイルソロギターという本がありまして、こちらもGuitar Magazineの連載をまとめたもの。 前述のVirtual Insanity、Oleoなどを収録してあります。 こちらも絶版なのですが、今のところ2000円以下ぐらいでオークションで買えます。 が、HOP STEP JAZZ!を先に買って、さらに!というときに買えばいいかなと思います。

HOP STEP JAZZ! は Jim Hall研究の合間に曲をぽろんと弾きたいなというときにピッタリです。 Someday My Prince Will Comeからやってますが、3ヶ月ぐらいかかってやっとJazz!版を練習しています。

チャーリー・パーカー研究 1.入門(音源と書籍、トラックの調べ方)

Billie's Bounceの作者がチャーリー・パーカーで、オリジナルを聴いたりしています。 チャーリー・パーカー、やっぱりいいですね。録音がよくないのでアレですが、いろいろ聴いていると、この曲はパーカーが大本なのか、など発見があります。最後の方はCole Porterを演奏していたりして、I've Got You Under My Skinもやってたりします(これは演奏にキレがない感じですが)。

itun.es

その流れで、以前買っておいた「チャーリー・パーカーの技法」という本を読み直しています。

チャーリー・パーカーの技法」はパーカーの曲を600曲とか採譜して研究された方が書いた本で、理解するにはかなり前提知識が必要ですが、とんでもなくすごい本です。 何がすごいかといえば、パーカーが曲の中で基本のコード進行に対してどういうコード進行を想定して即興をやったのかが明確に解説されています。こんな本が日本から出るとは、というレベルです。

さて、この本を読んでいて、なんとJim Hallが演奏するBillie's Bounce(最近コピーしたやつ)の中でよく分からなかった部分の謎が解けました。 Jim HallがBillie's Bounce = FのBluesのトニック、つまりF7の部分で頻繁にEbM7b5を弾いているのですが、これはたぶん「チャーリー・パーカーの技法」の3章で説明される「Relative Major」で説明できると思います。興味がある方は本を読んでみてください。

さて、「チャーリー・パーカーの技法」ではパーカーの演奏を採譜したものを題材にここはこういうアプローチだ、という風に解説が進むのですが、それがたとえば

ex. 118 Charlie Parker, "Out of Nowhere [take 1]", 1947年11月4日, 5小節目

というように記述されています。

この音源を探してくるには、パーカーの全録音の記録が書いてある

Charlie Parker Discography

を参照するといいと思います。

ここでOut Of Nowhereをページ内検索すると

Original Charlie Parker Quintet
same personnel
WOR Studios, NYC, November 4, 1947
D1111-C Bird Feathers   Dial 1058, LP 207; Spotlite (E) SPJ 105
D1112-A Klactoveedsedstene  Dial 1040, LP 207; Spotlite (E) SPJ 105
D1112-B -   Dial LP 904; Spotlite (E) SPJ 105
D1113-B Scrapple From The Apple Dial LP 203; Spotlite (E) SPJ 105
D1113-C -   Dial 1021, LP 904; Spotlite (E) SPJ 105
D1114-A My Old Flame (Blue Lamp)    Dial 1058, 1058 (alt.), LP 207; Spotlite (E) SPJ 105
D1115-A Out Of Nowhere  Dial LP 207; Spotlite (E) SPJ 105
D1115-B Out Of Nowhere (Nowhere)    Dial LP 904; Spotlite (E) SPJ 105
D1115-C Out Of Nowhere  Spotlite (E) SPJ 105
D1116-A Don't Blame Me  Dial 1021, LP 203, LP 904; Spotlite (E) SPJ 105

のようにOut Of Nowhereが録音された日のメンバーなどが分かります。 そして下に

* Spotlite (E) SPJ 105   Charlie Parker On Dial, Vol. 5
* Dial LP 904   Charlie Parker - Alternate Masters, Vol. 1
* Dial LP 207   Charlie Parker, Vol. 4
* Dial LP 203   Charlie Parker, Vol. 3
* Dial 1058   Charlie Parker - My Old Flame / Bird Feathers
* Dial 1040   Charlie Parker - Klactoveedsedstene / Charlie's Wig
* Dial 1021   Charlie Parker - Scrapple From The Apple / Don't Blame Me
= Dial D 2   Various Artists - Bebop Jazz 1948
* Dial 1058 (alt.)   Charlie Parker - Blue Lamp / Habanera Mambobop

と音源が収録されたアルバムなどが書いてあります。

もう少し、おおざっぱにパーカーの歴史を押さえておくとだいぶ分かりやすくなります。

パーカーの歴史を音源を中心に分けると

  1. Savoy (1944-1949) と Dial (1945-1947)
  2. Verve (1946-1954)

に分けられます。

Savoy と Dial 期は、"On Savoy Years" とか "On Dial", "Complete Savoy Sessions", "Complete Dial Sessions"みたいな名前で数えきれないぐらいのアルバムが出ています。

Verve期はたぶんパーカーの中でも結構有名なアルバム「Charlie Parker with Strings」

が代表作でしょうか。

この3つのレーベルがあることと、それ以外にライブレコーディングが正規版、海賊版含め多数ある、ということを覚えておけばいいと思います。

ライブ版はきりがないので、最初はSavoyとDialのマスタートラックのみが入っているものを聴けばいいのではないかと思います。 マスタートラック、というのはリリーストラックという意味で、というのも"Complete Savoy Sessions"みたいなタイトルのアルバムがあることから分かるように、マスタートラック以外にも録音された全トラックを収録したものもたくさん出ています。「チャーリー・パーカーの技法」でも当然のように同じ曲の別トラックが出てきますので、もしこの本を読む前提で揃えのであれば、まずは"Complete Savoy Sessions" と "Complete Dial Sessions" みたいなSavoyとDialの全トラックが入ったものを買うといいと思います。

ちょうど2016年1月にキングインターナショナルから Complete Savoy Sessions / Complete Dial Sessions が出ています。

http://www.kinginternational.co.jp/jazz/ejc-55685/www.kinginternational.co.jp

http://www.kinginternational.co.jp/jazz/ejc-55691/www.kinginternational.co.jp

Complete Savoy Sessions

Complete Savoy Sessions

Amazon
Complete Dial Sessions

Complete Dial Sessions

Amazon

先ほどのOut Of NowhereはDialと書いてありますので、Complete Dial Sessionsを持っておけば探せるということになります。

僕はSavoyの全トラックをVol.1 ~ 4で収録したもののVol.1とVol.2を持っていたので、Complete Dial Sessionsの方を買いました。 最新のマスタリングだけあってApple Musicなどで聴ける他のものと比べて音がよかったので満足しています。4枚で3000円を切る値段ですし、耳コピなどするならファイルが必要なので買うといいと思います。 これでSavoyとDialが揃います。

あとはVerveもCompleteみたいなのが出ているので、3つ買えばほぼ網羅できるのではないでしょうか。

他に、伝記的なことを調べるには、この本の第一章がいいと思います。ざっくり言うとめちゃくちゃやって体壊して死んだという感じで救いがありませんが。

残りの章は「チャーリー・パーカーの技法」とはまた違った切り口での奏法、演奏分析です。 いろんな曲のメロディを引用していることの指摘、作曲の分析、時期ごとのビブラートの深さなど、これもかなり濃い分析です。

両方の本で分かるのは、どうやら「パーカーはスケールで発想していない」ということです。これは大変興味深いことです。ひょっとしてモード・ジャズの始まりまでスケールを中心に置く即興は出てこない?